世界に告げよ(讃美歌第2編 172)
讃美歌第二編172-181に、いわゆる「黒人霊歌」を収録している。黒人霊歌は、17世紀に始まった奴隷貿易により、アメリカに奴隷としてつれてこられた人々が、その苦役の生活の中で作り、歌った讃美歌である。奴隷として、故郷から遙かに離れたところにつれてこられた彼らは、主人たちに連れられて教会に行き、礼拝を経験する中で、キリスト教を知ったようである。奴隷たちは、彼ら独自の信仰を形成し、集会を作って礼拝を行っていたが、このような集会は、白人たちによって禁止されていた。
このような過酷な状況の中で生まれた「黒人霊歌」であるが、そのほとんどが、神に対する信頼、希望、服従を美しい独特のメロディーで歌われているのは何故だろうか。解放を望むような、勇ましいものがあってもよさそうに考えてしまう。しかし、そうではない。来るべき救いに、全てを委ねていたからだろうか。
アフリカの人々は、今でもわたしたちが持っているような西洋式の楽譜を持たない。アフリカのカトリックの典礼歌を聞いていると、そのままからだから出てくるハーモニーなのではないかと思うほど、独特の響きを感じさせる。魂をそのまま音楽にしている。アフリカの人々の持っている賜物の一つかもしれない。
邦語の歌詞は、原恵氏の訳。「救いの君は来たりましぬ」とあるが、クリスマスに歌うによいとして、紹介されている。しかし、罪の赦し(1節)、救い(2節)、選び(3節)が歌われ、クリスマスに限らず、一年を通して「福音を世界に告げよ」と歌う歌であると思う。
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